「和の文字」
コンビニやスーパー、書店などでも、「手書き」っぽい感じの書体のポップを多く見かけるようになっています。
やはり、店舗や商品の差別化という事なのでしょうか。
ウチの仕事で例えると、「江戸文字」はいくつかフォントが出回っていますが、やはり「手書き」ですと、でき上がりにも「オリジナル性」が出ます。
最近、「江戸文字」の他にも「牡丹文字」や「角字」を多く書くようになりました。
展示会をさせてもらった影響もあると思いますが、「和の文化」の見直しもあるのでしょう。
これはやはり「フォント」が無いからで、書く人の個性がとても出る文字です。
半纏やのれんばかりでは無く、Tシャツや手拭、提燈のマーク、白扇、ショルダーバッグなどへ名入れをして使っていらっしゃる方もいます。
今までは、商品を作る過程の「原稿」でしたが、それ自体が「作品」となって来ているようです。小生にとっては有難い事です。
ただ、やはり店をやっている以上、製品まで作って頂ければもっと有難いのですが、原稿だけを求めてこられる方もいらっしゃるのは事実ですので、色々と書かせて頂いています。
面白いもので、酒や焼酎のメーカーさんからのラベルの依頼や問い合わせもあり、また地方の祭礼用としての「マーク」、飾り幕の刺繍の原稿などの仕事もあります。
自分なりに原稿としての江戸文字や牡丹文字、角字を分析して見ると、デザイン学校では、この手の物は教えてもらえないという事なのでしょう。
実際、教える先生もいないので、若い世代の方でも、とても興味を持ってくれる方が多くいます。
職人仕事なので、親方はいても、先生はいないということでしょう。
しかし、学校では教えてくれるところが無いので、何処へ行ったら教えてくれるのか分かりませんし、「和の文字」は普段、明朝体やゴシック体などを見慣れていると、さほど違和感が無いので気にならないのかもしれません。
寺社に行った時だけ、「江戸文字のシール」を無造作に「千社札」にして貼ってあるのを見かけるくらいだからなのでしょう。
ただ、小生がこの様な文字を書いていて、面白いと勝手に思っている事があります。
それは商売物の他に大体において使われる所が神社やお寺など、身近な江戸時代の「観光地」で使われている事が多いという、歴史的な側面もあるという事です。
江戸時代には、庶民の行く身近な観光地は、大きな寺社もあったので、そこで開催される「お祭」や「講」を作ってお参りに行く事が何よりのレジャーでしたから、そこへ奉納したりする品々に、江戸文字を使った「奉納額」なども寄進していたりしていたので、今でも「寺社」で江戸文字を見かける機会が多くあるのでしょう。
ですから、小生が書いている「和の文字」は、江戸から続く文化の一端と言う事ができるのかもしれません。
手前味噌な書き方で恐縮ですが、歴史と共に培われて来た「バックボーン」がある文字と言う事もできるかもしれません。
いずれにしましても、ここへ来てこの種の「和の文字」に興味を持って下さる方が増えて来たのは有難い事ですし、この文化を継承する事も大事だと思っています。
使われる場所が少なくなってきたから「文字書き職人」がいなくなっているので、もっと身近になれば文字を志す人も増えるのではないでしょうか?
「和の文字」について小生なりに最近感じていた事を書いてみました。
« 「原稿屋」 | トップページ | 「牡丹文字と角字」の「楽屋のれん」 »
「仕事」カテゴリの記事
- 「日本の漁港」(2014.11.07)
- 「ポチ袋」(2014.11.04)
- 「江戸文字体験」(2014.10.25)
- 「千社額のはなし」その2(2014.10.01)
- 「のれんの冬物」(2014.09.20)
コメント