「のれん」の夏と冬
よく、「のれんはお店の顔」と言われますが、お店の信用を表わす代名詞として「のれん」という言葉が使われます。
「のれん分け」、「のれんに傷が付く」、株の世界では「のれん代」などという「のれん」にまつわる色々な言い方があります。
子供の制服に「衣替え」があるように、「のれん」にも季節感があり、「夏物」と「冬物」があります。
「衣替え」をする時に洗うのが「のれん」を長持ちさせる秘訣です。
夏は日差しが強いので、主に「白」をベースに「黒文字」のものをよく使います。
これは、見た目の涼しさが一番ですが、地染まりの「のれん」は、夏の日差しで退色を速めてしまうので、それを防止する意味もあって、夏は「白の物」を使います。
生地は「木綿」か「麻」が一般的ですが、「麻の国産品」が流通しなくなっていて、価格も中国産より、高くなってしまっているのが現状です。それでも、国産品はまだ若干使えますのでご希望があれば承れます。
国産と中国産の違いは主に「生地の肉厚」ですが、「織りの密度」も違います。
生平(きびら)という、よく目にされる「麻」はこの違いがハッキリしていて、「のれんの持ち」も違ってきます。
今では、木綿が主流ですが、生成り(きなり)の色で、織り柄が入っている物や、変わり織りの物もあって、バリエーションが増えています。
ポリエステルの物もありますが、なるべく小生の店では、天然繊維にこだわって作っております。
「ロゴが無ければ作れない」という事は無く、手書きで「下絵」を書く事が出来ますので大丈夫です。
話が脱線してしまいましたが、「夏物」に対して、「冬物」は地色を染めて、文字を「白」で抜く物が一般的です。
これは、冬の寒い日には「見た目の暖かさ」が感じられるからで、最近では「紺」ばかりではなく、「暖色系」と呼ばれる「赤系」の色を使う様になりました。
これは、冬の寒い日、「暖色系」の「のれん」を見ると、「暖かさ」と「食欲増進」を感じるからなのだそうです。
一方、春先の新緑の頃には、「緑系」の物が好まれています。
これも、季節感をお客様に感じてもらおうという考えを持ったお店の方が行なっているやりかたです。
食材も「旬」が大事なように「のれん」も同じですし、洗って綺麗にした「のれん」の方が、お客さんがくぐって入店されるので、清潔な方がイイに決まっています。
洗い方も生地や染色の方法によって違いますので、またの機会に書く事にします。
「のれんに腕押し」にならないように、一度「のれんの顔」も見てやって下さい。
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