「初荷旗」 はつにばた
「篠竹」と言う細い青竹に、5色の「祝 初荷」と言う紙旗と、「会社名」を名入れした紙旗の2本を結びつけます。
もう、小生が物ごころが付いた頃から半世紀以上、毎年暮れになると始められていた仕事です。
青竹は、霜が降りてから刈り取らないと、竹に「張り」が出ないようで、温暖化が進んでいるので、霜が降りる時期が遅くなっているようです。
また、「青竹」は「魔除け」の意味もあり、「初荷」の行事には「一年の商売繁盛」を祈念して使われて来たのでしょう。
小生が子供の頃には、紙旗ではなく、まだ本当の「布旗」が使われていました。
昭和20年代後半、築地の「初荷」の様子 (京橋図書館資料より)
旗以外の「蛸のゴム風船」や「小さい提燈」なども付けられていたのを聞いた事もあります。
自転車や、車に「初荷旗」を付けて、築地から店まで風を切って「初荷」を祝う「正月の風物詩」でした。
海幸橋上での「初荷」の光景。 (京橋図書館資料より)
しかし、高度経済成長と共に、コストダウンもあり次第に「紙旗」となって、車などに付けて店に帰る迄に切れてしまうので「旗」を丸めて持って帰るようになりました。
東京周辺にも次第に「公設市場」が築地の支社として出来上がって行きましたので、そちらにもこの習慣が取り入れられて行きました。
バブルの去った頃から、スーパーなどでは、正月1日から営業するようになり、本来の1月5日からの「初市」の習慣が失われそうになった事がありました。
産地では、3が日迄は正月休みで、4日から仕事初めで出荷して、5日が消費地での「初荷」となるわけで、「理に叶っている」のですが、世の中の流れには棹差す事はできません。
「際物(きわもの)」と呼ばれるその時期だけに行なわれる日本の色々な行事や風習は、歴史に叶っている物が数多くあり、失われてしまっていたこの様な行事が今、どんどん復活して、あらためてスポットライトが当たり始めているようです。
一時は不要とされ、忘れ去られようとしていた行事や習慣が「東日本大震災」によって、日本人の琴線に改めて触れるからなのでしょう。
「初荷」の行事もこれからも続いていってもらいたいと思います。
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投稿: 初荷ののぼり旗 | 2015年11月27日 (金) 12時33分