「水産事務棟点描」
毎日働いている方には、当たり前の光景ですが、初めてここに来た方は、その頑丈で落ち着いた作りに驚かれると思います。
外側から見ると、白い壁の2階部分が、青果棟まで隅田川側が、壁から天井にかけてアーチ型に作られています。
東京都の指定金融機関が「みずほ銀行」なので、ここには築地支店の出張所が設けられています。
隅田川寄りには日が入る所と、近接する増築した建物により、日の当らない所とがあります。
関東大震災の教訓を活かして設計された建て物なので、美観と耐久性を併せ持ったこの様なデザインになったのでしょうか?
国鉄時代の引き込み線の関係で、扇形になった経緯から、外側に強度を持たせています。外側の方が柱のピッチが長くなりますので、、、。
なにしろ、こちら側の真下は、天井が高く作られていますし、塩水を使ったり、貨車で到着した水産物の荷降ろしを、毎日のようにしていた場所ですし、市場が終わると必ず水をまいて綺麗にしていたり、3階に事務所を増築したりして、柱には相当な荷重が掛かり続けています。
下の柱は、根元をコンクリートで補強していますが、当時は材料も相当良い物を使っていたのではないでしょうか。
建設中の築地市場、時計台通りの所。
全体的には今と変わりが無い。 (京橋図書館資料より)
東日本大震災の時も3階の一部を除き、ほとんど被害が無かったようですが、移転まで後3~4年間はガンバッテもらわなければなりません。
観光客の人は、マグロのセリ場見学には沢山訪れているようですが、そこから奥はなかなか入りにくいので、浜離宮近くではあまり見かけません。
関係者以外立ち入り禁止になっていますので、当たり前かもしれません。
建設から80年、戦争の時期を無事くぐりぬけて来た事務棟ですが、やはり老朽化は避けられません。
丁寧に補強しながら使い続けてきた建物ですが、時代の流れと共に変わって行きます。
引き込み線を遊び場として40数年、家業の手伝いで事務棟に入るようになってからも35年以上経ちますが、ここのアーチ柱の光景はほとんど変わっていないようにも思えます。
あと数年、色々と記録しておかなければと思っています。
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