「魚がし」の手拭
昭和30~40年代、地方の荷主さんへのお土産にはたいへん喜ばれたそうです。
以前、築地の荷受会社の大物部(マグロ担当)に勤務されていた方に聞いた話ですが、「魚がし」の手拭を反物のままで何反か持っていくと「築地」のお土産と言うことで、営業にも役立ったというのです。
「江戸文字」で染め抜かれた手拭は白地に紺文字が多かったようです。うまくデザインされたレイアウトは秀逸だと思います。
ですから、仲卸の屋号を変えるだけで「築地」を表すトレードマークになったわけです。
前にも「魚がしマーク」の項で書きましたが、「築地」の日の丸見たいなものですから、一般の方は勿論、特に地方の方にとっては、新鮮なものに映ったことでしょう。
まだ東京と地方の距離が遠かった時代には、このような事があったのでしょうね。
「初荷」の時にも仲卸の店から反物のまま「お年賀」として配ることが多かったようです。
手拭の素材の晒(さらし)はマグロなど脂分の多い魚を切った後、包丁に付いた脂をを拭き取るには今も重宝しております。ですから当時は町の魚屋も多かったので、余計に手拭を使っていたのでしょう。タオルは高級品のイメージがありました。
今では「手拭い」の方が高級品です。
また、ゆすいだ後も乾くのが早いですから、実用品として色々と使われました。
腰にぶら下げたり、鉢巻きにしたり、傷の手当てに細く裂いて使ったり、包丁を巻いたりと用途はたくさんあります。
この「魚がし」の手拭スタイルも昨今は少なくなりましたが、是非残って行って欲しいものだと思います。
「魚がし」という場所は色々な意味でトレンドを発信して来た所なのだと改めて思います。
これからはどう変わっていく事でしょう。
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はじめて、常陸と申します。魚がしの手拭いにつきまして、お伺いしたいことがございます!お手透きのお時間がございましたら、メールを頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします!
投稿: 常陸 | 2013年7月 7日 (日) 17時38分